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岡井隆「わが告白」歌人・歌会始選者が告白という形式の私小説 掲示板
日時: 2012/01/31 03:40
名前: 岡井隆「わが告白」私小説 掲示板

(*) 「わが告白」
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著者:岡井隆

八十三歳、歌会始選者・宮内庁御用掛の大胆なる「私小説」への挑戦。

男女の愛とは何だろうか――。二度の離婚。そして五年間の恋の逃避行。日本を代表する大歌人には、語られざる過去があった。文学者として世俗的な栄誉をすべて受けた今、封印してきた記憶が蘇る。そして、嫉妬と悪意の嵐。裁判沙汰になったストーカー騒動にも巻き込まれ、決して平穏な日々は訪れない。最初で最後の小説。


<目次>
第一部 日記は、事実よりもつよい
二〇〇九年八月九日――八月二十二日

自筆年譜の余白に
世俗の栄誉にともなうもの
「わが告白」の目論見
内なる趣味 VS. 外なる仕事
三鷹、M荘スケッチ
わたしという存在は、やはり……
「羨望される者」と「羨望する者」
第二部 愛の純粋と生活
二〇〇九年十月九日――二〇一〇年二月五日

自分には、あれ以外の生き方はなかったのだ
皇后陛下御誕辰祝賀の会について
大衆(マス)について(メモ)
あの暗冥
もうひとり佇んでいる者
最大の危険
純粋馬鹿
過去は詩に書けるだろうか
撤退しない癖
夢と同じもの
夢の中の話
失踪についてのメモ
よくもあんなに独断専行する男に
自伝というものの書きにくさ
第三部 〈虚栄の市〉のなかの生
二〇一〇年三月十三日――八月十二日

イッセイ・ミヤケの上衣
断想集
医と文とをめぐる回想的メモランダム
P(わたしの中のもう一人のペルソナ)との対話(七月六日)
福田節子追悼号
「文学」によって占領されていた
性的表現について
短歌結社とはなんだろう
処罰としての愛
「生きた、書いた、愛した」
中間的な考察
第四部 運命を抱きしめて
二〇一〇年十二月二十三日――二〇一一年七月十日

何かが自分の中で変った
わが震災記
わたしたちは忘れやすい人間
原子力という贖罪の山羊


<著者プロフィール>
岡井隆
1928年1月5日愛知県名古屋市生まれ。歌人・文芸評論家。未来短歌会発行人。日本藝術院会員。現、宮内庁御用掛。慶應義塾大学医学部卒。医学博士。内科医師として国立豊橋病院内科医長などを歴任。1946年「アララギ」に参加。1951年、近藤芳美を中心に「未来」創刊。『禁忌と好色』で迢空賞、『親和力』で斎藤茂吉短歌文学賞、『岡井隆コレクション』で現代短歌大賞、『ウランと白鳥』で詩歌文学館賞、『注解する者』で高見順賞受賞。



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<「わが告白」書評>
池上冬樹(文芸評論家)
ttp://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2012012203.html

 歌会始選者で日本芸術院会員である岡井隆には語らざる過去がある。過去三回にわたる家出についてだ。本書『わが告白』はその過去と向き合ったものだが、ありきたりの告白ではない。

 四部構成で、二〇〇九年八月から昨年七月までの日記形式である。編集者から『わが告白』を依頼される場面から書き起こされ、なかなか書き進められない状況が日々の生活と仕事とともにつぶさに記述されていく。

 つまり岡井八十一歳と妻四十九歳の穏やかな結婚生活、ストーカーとの裁判、宮内庁御用掛から見た皇居内の風景などを語りながら、両親の不和、性的体験、短歌結社の中での葛藤などが回想され、同時に日々の読書にふれ、自分の書いた作品(短歌や詩やエッセー)の自註(じちゅう)を繰り広げる。

 この自由自在に題材を拾う評論スタイルは、岡井が四十二歳の家出の時に完成させたものである。妻子を捨てて愛人と九州に逃げ、五年間行方をくらまし、歌を作らず、斎藤茂吉と塚本邦雄の歌集を読み返しながら、『茂吉の歌 私記』と『辺境よりの註釈 塚本邦雄ノート』という傑作評論を書き上げた。心境を綴(つづ)る日記と批評の融合ともいうべき異色の歌書で、以後岡井はこの方法を貫き通している。

 評者の精神の軌跡が鮮明になる手法だが、本書ではドキュメンタリー性が強い。結婚、破婚、同棲(どうせい)、出奔などを繰り返した自身の人生を歌を通して批評し(「性愛のまにまに頽れゆきにしや岡井隆といふ青年は」とかつて自己規定したことにふれ、“性とは別に、愛の絶対性を信じてもいた”と弁護し)、同時に現在の事象、とくに東日本大震災における様々な問題をリアルタイムで批評の俎上(そじょう)にのせていく。

 自身を批評し、時代を注釈していく岡井の行為の何と先鋭的なことか。それでいて告白という評論には発見と教示が溢(あふ)れていて実に刺激的。尽きせぬ面白さをもつ本だ。







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<岡井隆 特集>
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岡井隆「わが告白」
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