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フォーリン・アフェアーズ・リポート 国際政治・外交問題専門誌と論文の掲示板(歴史の未来、リベラルな民主主義、国際通貨システム、中国の不動産バブル、イランの核開発、ホルムズ海峡封鎖)
日時: 2012/01/28 04:50
名前: 国際政治・外交問題

(*)フォーリン・アフェアーズ・リポート2012年2月号
ttp://www.foreignaffairsj.co.jp/shop/shop-FAR1202.htm

歴史の未来
フランシス・フクヤマ/スタンフォード大学シニアフェロー

社会格差の増大に象徴される現在の厄介な経済、社会トレンズが今後も続くようであれば、現代のリベラルな民主社会の安定も、リベラルな民主主義の優位も損なわれていく。マルキストが共産主義ユートピアを実現できなかったのは、成熟した資本主義社会が、労働者階級ではなく、中産階級を作り出したからだ。しかし、技術的進化とグローバル化が中産階級の基盤をさらに蝕み、先進国社会の中産階級の規模が少数派を下回るレベルへと小さくなっていけば、民主主義の未来はどうなるだろうか。問題は、社会民主主義モデルがすでに破綻しているにも関わらず、左派が新たな思想を打ち出せずにいることだ。先進国社会が高齢化しているために、富を再分配するための福祉国家モデルはもはや財政的に維持できない。古い社会主義がいまも健在であるかのように状況を誤認して、資本主義批判をしても進化は期待できない。問われているのは、資本主義の形態であり、社会が変化に適応していくのを政府がどの程度助けるかという点にある。


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リベラルな民主主義の奇妙な勝利
シュロモ・アヴィネリ/ヘブライ大学政治学教授

なぜ20世紀に民主主義が生き残り、ファシズムも共産主義も淘汰されてしまったのか。1930年代から21世紀初頭にいたるまで、ヨーロッパ全域が民主化すると考えるのは現実離れしていたし、リベラルな民主主義が勝利を収める必然性はどこにもなかった。なぜ、社会に提示できるものをもち、圧倒的な力をもっていたマルクス主義がリベラルな民主主義に敗れ去ったのか。そしていまや、多くの人が(民主主義を支える経済制度である)資本主義が経済利益を広く社会に行き渡らせる永続的な流れをもっているかどうか、疑問に感じ始めている。ヨーロッパとアメリカの昨今の現実をみると、民主的政府は危機に適切に対応できず、大衆の要望を満たす行動がとれなくなっている。現在、世界が直面する危機によって、市場原理主義、急激な民営化、新自由主義では、「近代的でグローバル化した経済秩序をどうすれば持続できるか」という問いの完全な答えにはなり得ないことがすでに明らかになりつつある。


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人民元の国際化路線を検証する
セバスチャン・マラビー/外交問題評議会地政経済学センター所長
オリン・ウェシングトン/元米財務省国際関係担当次官補
 
準備通貨としての人民元の台頭を指摘する議論の多くは間違っている。中国の通貨のグローバルな台頭は一般的に思われているよりもゆっくりとしているし、人民元は準備通貨としてドルに取って代わるというよりは、ユーロ、日本円、スイスフラン、英ポンド同様に二次的な準備通貨の地位に留まると考えるのが妥当だろう。たしかに、香港、そして大陸において人民元ベースの信頼できる債券市場が整備されていけば、英ポンド、ユーロ、スイスフラン、日本円と同じように、外国人が保有する人民元資産も増大していくだろうが、おそらく、それはアジア地域だけの現象に留まるだろう。むしろ注目すべきは、人民元の国際化路線が、中国の経済モデル変革の水面下に潜む深刻な内部抗争を映し出していることだ。

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国際通貨システムの未来
―― 再現されるのは1930年代か1970年代か
バリー・エイケングリーン/カリフォルニア大学経済学教授
 
米欧経済がともに深刻な危機に直面しているために、ドルとユーロへの信任が揺らぎ、国際通貨システムそのものが動揺し始めている。1930年代の国際通貨システムの崩壊は、経済活動を抑え込み、政治的過激主義を台頭させて、世界を壊滅的な事態へと導いた。対象的に1970年代のブレトンウッズ体制の崩壊の場合、グローバル経済はダメージを受けたが、致命傷を負うことはなかった。金、小国の通貨、人民元、SDRと、現状におけるドルやユーロの代替策はどれも問題があり、結局、現在の国際取引を支えられるのはドルとユーロだけだ。しかし、この二つの通貨の安定に対する懸念がさらに高まり、各国の中央銀行が保有するドルとユーロを手放していけばどうなるだろうか。各国は1930年代に外貨準備を清算したときと同様に、資本規制策をとって資本の流れを制限するしかなくなる。1930年代、1970年代、われわれはどちらのシナリオを目にすることになるのか。グローバル経済の運命は生死の縁をさまよっている。


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はじけだした中国の不動産バブル
パトリック・チョバネク/清華大学・経済・マネジメントスクール准教授(MBAプログラム担当)

2011年10月、上海の不動産開発業者が突然高級マンションをそれまでの3分の1の価格で販売し始めた。沿岸部の温州や石炭資源地帯であるオルドスでは、不動産価格の暴落によってクレジット危機が起き、ビルの屋上から飛び降り自殺をする者が相次ぎ、国を脱出する者さえいる。いまや中国の不動産バブルははじけつつある。これまで住宅市場を支えてきたのは強気の不動産開発と中国の個人投資家たちだった。ごく最近まで不動産開発業者は、建設が終わらぬうちにすべてを完売できる状態にあったし、個人投資家は一人で複数、ときには数十もの住宅やマンションを投資用に買い上げてきた。だが、開発業者は住宅在庫を維持していくための融資を調達できなくなり、2011年夏までには、ついに住宅在庫を精算し始めた。最大の疑問は、最後の砦である個人投資家が保有物件を安値で売り払うかどうかだ。実際にそうなれば、市場は大混乱に陥り、住宅価格はさらに暴落し、バブルは完全にはじけるかもしれない。彼らが遊休資産を今後も維持していくかどうかは、価値を保有していく手段として不動産が信頼できるかどうかに依るが、その合理性は失われつつあるかにみえる。・・・



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いまこそイランを軍事攻撃するタイミングだ
―― 封じ込めは最悪の事態を出現させる
マシュー・クローニッグ/前米国防長官室ストラテジスト
 
アフガンとイラクでの戦争がやっと幕引きへと向かい始め、米財政が苦しい状況に追い込まれるなか、アメリカ人はさらなる紛争など望んではない。しかし、イランの核開発が成功した場合に何が起きるかを考えれば、傍観は許されない。イランの核施設に対する慎重に管理された空爆作戦をいま実施した方が、核武装したイランを数十年にわたって封じ込めるよりも、はるかにリスクは小さくて済む。実際、現状を放置して核武装を許し、核を持つイランを封じ込めていくのは最悪の選択肢だ。イランが核開発に向けて進展を遂げている以上、通常兵器による攻撃か核戦争かのいずれかを選ばざるを得ない。ワシントンは、イランの核施設に対する空爆を実施し、イランの報復攻撃を受け止めた後、危機を安定化へと向かわせる戦略をとるべきだ。現在、危機に正面から対処すれば、将来においてはるかに危険な事態に直面するのを避けられるだろう。


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CFR Interview
イランはすでに核弾頭を搭載できるミサイルを保有している
マイケル・エルマン/英国際戦略研究所シニアフェロー

イランは、アメリカ(やイスラエル)と湾岸諸国に対して、自国が攻撃されれば相手に大きなダメージを強いる能力を持っていることをアピールしたいと考えている。これが、ホルムズ海峡封鎖の警告を含む、最近におけるイランの一連の行動と過激な発言の真意だと思う。2003年以降もイランが核兵器の開発を試みているか? その動かぬ証拠を文書に見いだすことはできないが、イランが湾岸地域の都市やイスラエルを脅かせる弾道ミサイル領域でかなりの進展を遂げているのは間違いない。そうしたミサイルには、これまでイランが独自に開発に取り組んできた2段式固体燃料型のセッジール2ミサイルも含まれ、このミサイルはいまや配備できる状態にある。セッジール・ミサイルを設計した当時からイランが核弾頭の搭載を想定したかどうかはわからない。だが、状況からみれば、セッジール・ミサイルの開発は核兵器の獲得を前提に進められたと考えてもおかしくはない。


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外交か軍事攻撃か
――空爆、外交、それともイランの核武装を認めるか

レイ・タキー/米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー
マシュー・クローニッグ/米外交問題評議会核安全保障フェロー

ある朝、目がさめると、国内の5―10の核施設が破壊されている。だが、軍隊は無傷だし、体制も安泰だ。あなたがイランの最高指導者なら、この状況にどう対応するか。国内的な面子を保ち、抑止力を再建するために、何らかの報復策はとらざるを得ないと考えるだろう。だが一方で、自国の軍隊と体制を完全に崩壊させるかもしれないアメリカやイスラエルとの全面戦争は回避しようとするはずだ。・・・むしろ、イランへの軍事攻撃によって状況が管理不能になるとすれば、ホワイトハウスがイランの反撃に対抗することを求める大きな政治圧力にさらされた場合だろう。(M・クローニッグ)
「特定の状況下であれば、イランとの軍備管理交渉は不可能ではない」とする認識をワシントンは依然としてもっている。関係するプレイヤーのすべてが、事態が紛争へとエスカレートしていくのを望んでいない以上、緊張が高まっている現在の情勢は、逆に、外交交渉を試みる機が熟したとみなすこともできる。・・・私は、3月か4月に「5プラス1(安保理常任理国プラスドイツ)」の外交交渉が行われるのではないかとみている。(R・タキー)


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2012年、われわれは何を心配すべきか
――世界のマクロ政治・経済リスクを検証する
デービッド・ゴードン/ユーラシアグループ・グローバルマクロ分析部門ディレクター
 
・ ヨーロッパがソブリン債務危機を克服することはあり得ないが、ユーロゾーンの崩壊も、ヨーロッパ主要国が2012年に信用危機に陥っていくこともない。だが、ギリシャは非常に深刻な事態に直面する。
・ アメリカ(とドル)が安全地帯とみなされる限りは、ワシントンは経済を前に進めることができる。
・ 中東地域では歴史的なスンニ派とシーア派の対立が再燃しつつある。シリア、イラク、そしてイランもこの宗派対立にとらわれている。
・ インドは今後大きな危険にさらされることになる。インドのことを南アジアにおける欧米の前哨基地とみなすテロ集団の標的にされる恐れがある。
・ 急速に北朝鮮が崩壊へと向かった場合に何が起きるか分からない。米軍と韓国軍は核施設の安全を確保するために北へ向かい、一方で、中国軍も自国への難民流入を阻止するために、鴨緑江を越えて現地に入り、秩序を確立しようとするかもしれない。


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パキスタンに対する強硬路線を
―― 懐柔策では協調は引き出せない
スティーブン・D・クラスナー/元国務省政策企画部長

パキスタンは対米協調を装いながらも、それが対インド戦略に抵触する領域についてはアメリカの利益を公然と無視した行動をとっている。それにも関わらず、ワシントンはパキスタンを切り捨てるのを躊躇している。「対テロ作戦へのパキスタンの協調を得られなくなれば、アメリカのアフガンでの作戦は失敗する」と決め付け、「外からの支援がなければ、パキスタンは破綻国家へと化し、その結果、イスラム過激派が国を制圧し、悪くすると、インドとの核戦争が起きかねない」と心配しているからだ。だが、これらは真実ではない。アメリカが対パキスタン援助と関与によって得た利益よりも、パキスタンによる核拡散とイスラム過激派支援路線によって被っているダメージのほうがはるかに大きい。パキスタンが具体的に行動を起こさなければ、パキスタンを孤立させる政策をとると、はっきりとイスラマバードに伝えるべきだ。いまや、パキスタン強硬路線へと舵を切るべきタイミングだ。むしろ、パキスタンを敵国として扱ったほうが、アメリカも、パキスタンを含む地域諸国もより大きな恩恵を手にできるようになるだろう。


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表面化し始めた平壌の内部抗争
スコット・A・スナイダー/米外交問題評議会アジア担当シニア・フェロー

(最近日本で出版された本で、金正恩を激しく批判した金正男の発言が引用されている)。彼の発言は金正恩が政権基盤を固めていく上での最大の脅威になるかもしれない。金正男はこれまでも、北朝鮮の将来について、そして金正恩が権力を確立できるかどうかについて、厳しい見方を示してきた。常識的に考えて、北朝鮮のエリート層内で対立が起きていない限り、彼がそうした批判的なコメントを出せたはずはない。身辺に危険が及ぶ可能性がないと確信しない限り、金正恩を公然と批判する発言をするとは思えない。・・・正恩の権力継承は成功しないと彼は考えている。正恩をシンボル、あるいは傀儡にした軍が権力を掌握するというのが彼の読みだ。また彼は経済改革なしでは国が持たないと考えている。


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< フォーリン・アフェアーズ・リポート>
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1922年にNYの米外交問題評議会によって創刊された外交専門誌。
 その後、国際政治・経済部門では他の追随を許さず、国際関係・外交に携わる者の必読書として世界的な名声を確立していく。米外交、国際政治に絶大な影響力を持つことで知られる外交問題評議会のフラッグシップ・ジャーナルとして、冷戦の理論的支柱とされたジョージ・ケナンのX論文、冷戦後の大きなパラダイムの一つを提供したサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」など、時代の節目ごとにその後の世界を予見する重要な論文を発表し続け、良質な国際的思想、政策を議論し、啓蒙する世界的なフォーラムの役目を果たしている。




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<TOEICのスコアを上げる「スーパーエルマー」>
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グローバル化した現在、海外勤務のみならず、国内勤務でもビジネス英語力を重視する企業が増えています。



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